中学総合講座「社会的な問題関心を拓くステップ―生きること・働くこと・考えること―」 第8回
2016.02.25
中学1年生から3年生の60名ほどが参加した総合講座。
第8回目のゲストはNHKエデュケーショナルの佐々木健一さんでした。佐々木さんはご自身が制作した「ケンボー先生と山田先生―辞書に人生を捧げた二人の男」で第30回全日本テレビ番組制作者連盟最優秀賞を受賞し、その内容を元にした書籍「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」(文芸春秋社刊)は、第62回日本エッセイスト・クラブ賞に選ばれました。昨年10月にも、「Dr.MITSUYA―世界初のエイズ治癒薬を発見した男」が、NHK総合でオンエアされるなど、多くの番組を手がけています。
最終回となった講座では「TVディレクターという仕事―難しいことをやさしく、深く、面白く、真面目に、愉快に―」と題して、ご自分が企画・制作した番組の映像を実際に見せて下さりながら、TVディレクターのお仕事についてお話して下さいました。
「難しいことをやさしく、深く、面白く、真面目に、愉快に」というのは、劇作家の井上ひさしさんの言葉ですが、「難しいことをやさしく、深く、面白く、真面目に、愉快に」伝えることがTVディレクターの仕事であり、そのためには、いかに「差異」(驚きやギャップ)を設定できるかがカギであるというお話に、生徒たちは真剣に耳を傾けていました。
個人的には「自分の人生をかけていいと思えるほど、夢中になれるほどを見つけることは難しいが、それを見つけることが大切である。自分にとってはそれがTVの仕事だったので、番組を作るために日常的に勉強することは全く苦痛ではない。自分が夢中になれること、自分が好きなことは、自分で見つけるしかない。だから、いろいろな学びによって、自分のモノの見方を決定する「環世界」(生物学者・哲学者ユクスキュルの言葉)を変え、様々な人やモノとの出会いの中で、自分が本当に好きと思えるものを見つけて欲しい」というお話が、様々な世界と触れ合いながら、これから大人になっていく生徒たちにとって、非常に大切な言葉だったと感じ、強く印象に残りました。
授業を受けた生徒の感想を引用します。
「面白さには差異の要素もあることも分かりました。驚きやギャップがある番組は愉快に見ることができるし、真面目さもその中に織り交ぜることができるのはすごいことだと思いました。自分の好きなことを生かして将来につなげていきたいと思います」
「『好きなことを見つけられて、ずっと学び続けられる才能こそ本物の才能である』という佐々木さんの最後の言葉がとても印象に残りました」
「僕が佐々木さんの話の中で一番印象に残ったのは「学ぶことによっていろいろなことに興味を持つ機会を増やすために勉強する」ということです。僕は子供の頃からなぜ勉強するのかということについて疑問をもっていましたが、今回佐々木さんの言葉を聞いて納得ができました」
「好きなことを仕事にできるということも一種の才能で、そういう人たちが幸せと言われるのは、好きなことを学び続けられる環境にあるからだと思います。ぼくも学んで好きなことに出会いたいです」
最後になりましたが、お忙しいところ生徒たちのためにお話くださった佐々木さんに厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。